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欧文組版のための基本設定(Indesign/Illustrator)

はじめに

私たちが普段仕事で使用しているadobeのIndesign、Illustratorはもともとは英語版のアプリケーションです。しかし日本語版でダウンロードした場合には、デフォルトの設定が日本語組版の環境になっており、「日本語組版の設定のまま」気づかずに(!)欧文をレイアウトしてしまうケースが多いようです。

特に注意が必要なのは、日本語版で制作していたものを、他言語展開させる場合です。日本語組版のデータからそのまま英語を流し込んでしまった場合に、せっかく精度の高い翻訳をかけた英語を流し込んでも、日本語設定のままでは、文字組みがばらけていたり詰まりすぎていたりと、読みにくい欧文組版になってしまうことがあります。組版は文章の信頼性にも関わる大事な要素です。

欧文組版をする際には、欧文組版用の基本設定に変更してから始める必要があります。設定を確認して、機能を最大限活かすきっかけとなればと思い、欧文組版をはじめる前の基本的な設定を紹介していきたいと思います。

5つの設定を欧文モードへ

1.欧文コンポーザー

Indesign/Illustratorでの欧文コンポーザーの設定

インデザインのコンポーザー設定を「欧文コンポーザー」へ設定を欧文モードにすることで、「文字揃え」など日本語の設定が、自動的に「欧文ベースライン」になります。

イラストレーターの場合は「日本語コンポーザー」のみなので、禁則処理:なし、文字組み:なし、段落パネルのオプション「欧文基準の行送り」に、文字パネルのオプション「文字揃え」を「欧文ベースライン」へ設定。

2.カーニング設定

Indesign/Illustratorでのカーニングの設定(メトリクス)

インデザイン・イラストレーターともに欧文組版での文字揃えは基本的に「メトリクス」を使用します。他にも「和文等幅」、「オプティカル」がありますが、和文等幅は和文のベタ組み、オプティカルはアドビが設定した独自の文字詰め機能で、デジタル書体の詰め情報を無視したものなので、基本使用しないほうが良いです。(古いデジタルフォントで詰め情報が無いフォントは例外的にオプティカルが一部有効です)

メトリクスは、デジタルフォントの詰め情報(文字と文字の組み合わせによってどれだけ詰めるかタイプデザイナーが設計した数値)をもとに組版する設定で、デジタルフォントの重要な情報のひとつです。そのため、日本語組版で使う「和文等幅」を設定していると、正しく機能しない場合があるので、注意が必要です。

3.言語設定を正しく行う

Indesignでの引用符の設定(環境設定を2カ所設定)

Illustratorでの引用符の設定(ファイル→ドキュメント設定の「文字オプション」)

文字パネルの「言語」設定を、テキストの言語と同じものを選択します。英語においても米国英語と英国英語があるため、引用符やスペルに影響があるため、必ず使用する言語を選択するようにします。引用符、省略単語のピリオドの有無、スペルなど「英語」と一括りにしても表記が異なってくるので注意が必要です。英国英語か米国英語は使用するエリアや、その企業が海外拠点をどこにおいているかによっても異なるため、不明な場合はクライアントに確認をとって進めていく必要があります。


米国英語と英国英語の違いの代表例

4.ハイフネーション機能はオンのまま

Indesign/Illustratorでのハイフネーションの設定

きれいで読みやすい欧文組版においてはハイフネーションはとても重要な要素です。デフォルトでは「オン」になっているのでそのまま変更せずにしておきます。
ハイフネーションにおいて「音節」によって区切られる箇所が単語ごと決まっています。インデザイン、イラストレーターは自動ハイフネーション機能があるため、テキストには正しい「言語設定」をするようにしましょう。

5.欧文合字はオン

Indesign/Illustratorでの欧文合字(リガチャ)の設定

欧文合字もデフォルトで「オン」になっていますのでそのまま変更せずにしておきます。)フォント情報には意図的にくっついた状態の合字(リガチャ)があります。
「fi」「ff」「fl」などに代表される合字ですが、「Th」など一部合字することで、読みづらくなってしまうと判断した場合には、意図的に解除することも検討すべきです。

上記はレイアウトソフト(Indesign、Illustrator)における欧文組版をはじめる基本的な設定です。ページものの組版用に設計されたインデザインは当然ながら、欧文組版を細かく設定できます。実際には、チームで使い慣れているIllustratorを選択するケースも多いかと思いますが、デジタルフォントにおけるカーニング設定や言語のスペルチェックなど、長文を組む際は、より細かく設定できるインデザインでのレイアウトをお勧めします。設定をしっかりして、カーニング情報が細かく検討された質の高いデジタルフォントを使用していれば、組版をある程度自動で最適化してくれるので、作業の効率化と質の高い組版のためにも、事前の細かい設定をお勧めします。

参照:Indesignの勉強部屋
No.09 欧文組版の際に変更しておきたい設定
https://study-room.info/id/studyroom/other/other09.html

タイポグラフィ09 美しい本と組版 P67-73
http://www.graphicsha.co.jp/detail.html?cat=4&p=33088

新標準・欧文タイポグラフィ入門 プロのための欧文デザイン+和欧混植 P90-99
https://books.mdn.co.jp/books/3220203001/

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