|1|ブランドの“核”を共有するための、開発プロセス設計
knitido+の立ち上げにおいて、まずグランドデザインが重視したのは、“対話”による共通理解の形成である。週1回の定例ミーティングでは、
・ ピラティスにおける足指の役割
・ 製造・技術面での工夫
・ 使用者が求めている「身体感覚」
・ ブランドとして目指す世界観
などをブランド側と制作側が丁寧にすり合わせ、制作の前に思想をつくるフェーズに時間をかけた。この土壌があって初めて、“ただの機能製品”ではなく、**“哲学を持った商品”**としての構造が育った。
|2|「足指=本来の機能美」を言語化するステートメント開発
ピラティスにおいて足指は、単なる体の一部ではなく、全身の安定・動き・重心を整える中核である。この思想に共鳴しながら、開発されたブランドステートメントは、次のような問いかけから始まった:「あなたの足指は、本来の力を取り戻していますか?」そこから導き出されたのは、
・ 足本来の機能に戻ること
・ 自然な動きを支えること
・ 自分の体を“使いこなす”感覚を取り戻すこと
といった、“身体の原点に戻る”ブランドメッセージ。機能訴求だけではない、身体への意識そのものを変える体験価値が、ステートメントに込められた。
|3|「n=指」──本質と象徴性を両立したロゴデザイン
ロゴデザインでは、“足指そのもの”を象徴するモチーフを探る中で、「生まれたばかりの赤ちゃんの足指」というコンセプトに辿り着いた。これは、
・ 無垢な機能性
・ 自然体の動き
・ 自己再生の象徴
を表し、同時に「n=指(ナンバー/natural/naked)」という記号的な意味も持たせることで、抽象性と身体性を両立するロゴが完成。タイポグラフィの形状、文字間、囲みの余白までが、**呼吸感と身体との“間”**を意識した設計になっている。
|4|パッケージ・ブランドサイトに宿る“身体との会話〟
パッケージとブランドサイトにおいても、単に製品情報を並べるのではなく、「履いたときに、あなたの身体に何が起きるか」という体験ベースの構成が採用された。
・ パッケージは、足の機能説明を視覚化しながらもミニマルに
・ サイトは写真と余白を活かし、空気感のあるナビゲーション設計に
・ 文字や色も“動き”“安定”“内側の感覚”といったテーマで構成
ブランドとユーザーの接点すべてに、プロダクト=身体哲学の伝達装置としての美学が通底している。
|5|プロダクトアウトから、“思想アウト”のブランドへ
多くのスポーツソックスが、機能性や素材アピールに終始する中で、knitido+は、“身体の気づき”を届けるブランドとして差異化されている。これは、
・「体にいい」ではなく、「自分の身体と会話する」
・「支える」ではなく、「使いこなす」
という、ユーザーの“意識”を変えるブランドであるという方向性である。まさに、プロダクトアウトではなく、思想から出発するブランディングの実践例となった。