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弊社の場合:グラフィックデザインのスタートから納品まで

この記事では、オリエン〜デザインの納品までどういう工程を踏んでいるのか、パッケージデザインの事例をもとにご紹介いたします。

 

全体の流れ

基本的にオリエンを受けてから納品まで基本的に以下のような流れで制作を進めています。もちろんもっとたくさん工程がある場合もあれば、さらに少ない場合もあります。

[1] オリエン
[2] 市場調査
[3] コンセプトメイキング
[4] デザイン資料集め
[5] ラフ
[6] カンプ
[7] 提案・企画書
[8] 入稿

[1] オリエン

まずクライアントから「こういう商品が発売されるのでデザインよろしくね」というオーダーが来ます。
ここがとても重要なスタート地点の情報で、内容は企業によってさまざまです。

たとえばA4一枚の概要シート的な場合もあれば、数十ページに渡る市場調査的なものがまとまったシートの場合もあります。

何をどれだけつくるのかのオーダーもここで決まります。
パッケージだけなのか、POPなどの販促物やWEBもつくるのかなどなど。最初は単体の依頼でも最終的には展開が発生する場合も多いので、視野を狭めてスタートするのは危険です。

[2] 市場調査

クライアントがさまざまな市場調査のデータをまとめてくれる場合もありますが、デザイン制作前に自分たちでも調べます。
たとえばビールの場合は世の中のロングセラービール、期間限定商品、クラフトビールなどの種類によってデザインの系統が違います。さらにいうと、「そもそもビールって何だっけ」っていうところからいろいろ調べたりもします。

弊社の場合、案件によっては独自に100人ぐらいアンケートを取ってみたり、スタッフ共有のために商品のポジショニングマップをまとめたりもしています。

[3] コンセプトメイキング

オリエン資料や自分たちの調査結果などをもとに、まずはコンセプトメイキングをします。これはスタッフ間でデザインの方向がブレないように「これって一言でいうと何なの?」的なワードをまとめる作業です。[4]のデザイン資料集めと並行することもありますが、クライアントやスタッフ間で進むべき方向を共有するための大事なフェーズです。
このトマトビールの場合でいうと、以下のコンセプトに決まりました。
『地方で育った美味しいトマトを、農家の人たちが丹精込めてつくったクラフトビール』という世界観を目指しました。

[4] デザイン資料集め

ここからが実行フェーズです。
資料集めをすっ飛ばしてしまったり、短時間でササッと終わらせる人もいますが、今後の方針を決める上でいちばん重要なフェーズでもあります。

すごく洗練されたデザインができたとしても、進むべき方向がそもそも間違っていたらいくら精度の高いパッケージでも失敗ということになってしまいます。

たとえばコンセプトメイキングで決めたクラフトビール感を目指すのに、以下のイラストのどれを選ぶかでパッケージの印象も大きく変わってきます。
デザインを具体的に形に起こす前に、まずはどういう方向にするかをきちんと明確にすることがとても大切です。

[5] ラフ

資料が決まったらそれをベースにラフを描きます。
最近macの普及によっていきなりPC作業に入る人もいますが、弊社ではまずはラフを描いて情報整理することを重視しています。1枚3分の雑なイラストでも全然OKです。

事前に調べた資料からより具体的にアイデアを固めたり、スタッフ間で方向性を共有する上でも重要な作業です。
こちらの写真はちょっとしっかり気味に描いたラフの例です。

[6] カンプ

いわゆるmac上で行う「デジタルラフ」です。
ここはもっとも大切な部分とも呼べる場所ですが、意味は大きく2つあって

1.最終的にどんな仕上がりになるかを検証する
2.クライアントにプレゼン・確認するため

ラフの作業で思い描いていたものをより具体的にビジュアルへ起こす作業とも言えますが、ここで幅を大きく広げ検証するのもポイントです。

[7] 提案・企画書

これらのいろいろなタスクを乗り越えて、いよいよクライアントへ提案です。ここでプレゼンがダメだったり、企画書が不十分で伝えたいことが伝わらないとこれまでの作業が台無しになってしまう大切な作業です。

提案の案数は場合によってさまざまですが、一般的にはA〜C案の3案を提出してどれかを選んでもらうというスタイルが多いでしょうか。
徹底的に詰めた1案だけを提出する方がいい場合もあるし、あえて数十案提出して議論して決めるのがいい場合もあるので、ここはケースバイケースとも言えます。

[8] 入稿

提案〜修正まで何度かやり取りをしつつ、クライアントOKが出たらいよいよ入稿です。
印刷会社さんにどういう仕様か等のやり取りをおこない、最後の仕上がりを想定しながらディティールを詰めていきます。
サンプルを確認しながらもう少し線を太くしたり、色味を変更したりなどの細かな調整を行います。
今回のパッケージでは箔押しと刷金の2種類校正を出し、サンプルが出る前は箔押しのほうがいいかと思ったのですが、意外に刷金のほうが美味しそうに見えたため刷金に決定しました。

これでラベルが印刷されて製品が発売されたらすべてのお仕事は完了です。

とても美味しいトマトビールですので、お店で目にする機会があればぜひご賞味いただけますと幸いです。

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