|1|“自分をリセットする”飲料としてのコンセプト開発
RE:MEのベース成分は中国原産の果実「山桃」。甘さ・爽やかさ・伝統性をあわせ持ちつつも、健康飲料ともスイーツ系とも取れるあいまいなポジションにあった。私たちはこの曖昧さをポジティブな“中間性”=再起動(リセット)という意味づけで定義。
「RE:ME=自分を再起動する飲み物」というメッセージを込めてネーミングを決定。“RE:”という西洋的な機能表現と、“ME”という自己認識の感性を掛け合わせ、中国の都市生活者のメンタルケア飲料としての立ち位置を確立した。
|2|“薬のカプセル”をデザインモチーフに、機能性を可視化
RE:MEのパッケージ開発では、ただのオシャレ飲料ではなく、「見た瞬間に“効きそう”と感じさせるデザイン」が求められた。そこでたどり着いたのが、“薬のカプセル”という形状モチーフ。
・ 効能を連想させるビジュアル
・ 内容物が視認できるパッケージ構造
・ シンプルで、グローバル感のある色彩設計
この結果、グローバルアワード「Pentawards」でシルバー賞を受賞。これは、日本人と中国人のクリエイティブチームによる、初の国際的共同受賞という意味でも大きな成果だった。
|3|Z世代を狙った、SNS映えするパッケージアプローチ
ターゲットは18〜24歳のZ世代。写真を撮ってSNSにアップしたくなるデザイン性と、棚で目立つことを最優先に設計された。デザインコンセプトは以下の3軸:
Active:手に取って動き出したくなるようなエネルギー
Modern:都市生活に馴染む洗練された感覚
Juicy:果実感と効能が共存するフレッシュさ
しかし、これらが“健康補助飲料”という機能性飲料の文脈でどう受け取られるかは、まだ未踏のチャレンジだった。
|4|市場とのズレ、カテゴリー認識の限界
RE:MEは、コンセプト・ネーミング・デザインともに、“新しい市場”を開拓する方向に構成された。だが、中国市場ではまだ健康飲料といえば、
・ 伝統的な漢方(=「効きそう」)
・ スイート系乳飲料(=「おいしそう」)
の二極が主流。その中間に位置づけられたRE:MEは、“どっちつかず”と感じられてしまった可能性がある。「右上(機能的でスタイリッシュ)」を狙ったつもりが、消費者からは左下(曖昧で弱い)に見えた」というのが、私たちの反省であった。
|5|その後、ヨーグルトドリンクの進化とRE:MEの衰退
プロジェクト後、中国の飲料市場ではヨーグルトドリンクが急速に機能性とデザイン性を融合させて進化。
RE:MEが意図したような“機能的に飲むヨーグルト”市場が現実化していく中で、RE:ME自体のプレゼンスは次第に埋もれていった。これは、製品コンセプトが先進的でありすぎたこと、そしてブランドとしての“継続的な再解釈と育成”が足りなかったことの教訓でもある。