RIO

PACKAGE

RIOの依頼は2012年の反日運動直後のグランドデザイン上海へ来た。こんなタイミングで日系デザイン会社にデザインを依頼してくれる中国企業とはどんな会社だと関心を持った。依頼の概要はシンプル。中国にはまだ低アルコール市場が醸成できていない一方、日本には長年の低アルコール市場がある。彼らは中国において低アルコールNo1ブランドを作るべく『カクテル』に目を向けていた。いわば『カテゴリーリーダー』戦略と言える。

CREATIVE IDEA

中国には古くから白酒(ばいじゅ)や紹興酒がある。また2012年には青島ビールに代表される世界大手の一つに数えられるビール会社も存在していた。ここにヨーロッパからワインやウイスキーなどが大量に輸入されていたのが2012年という時代だった。また我々は過去の経験の中で人々は豊かになるほど味覚は薄いのを好むようになり、アルコール度数も下がっていく法則を知っていた。従って2012年においてビールに変わる低アルコール飲料はほぼ無い状態であった。これはまたとないチャンスかもしれない。しかし2008年に上海に拠点を構えた我々は、KIRIN氷結をはじめとする日系低アルコール進出の失敗を数多く見てきていた。価格の高さが失敗の大きな要因であることは誰にも想像ができた。しかし、少なくとも当時の中国人は『口に入れるものの中身が見れない』ことへの強い抵抗感があったのを我々は知っていた。少なくともこれはパッケージで解決できる問題であった。カテゴリーリーダへの突破口は『みんなに真似されるデザインを作る』こととした。

DESIGN SOLUTION

商品は曲線を多めに使った瓶ボトル、南米をイメージする『RIO』という商品名、カラフルな色、シルエットがフラッグにも見えるラベル、で昔からあるような王道感ある佇まいを作った。低アルコール飲料であるため成人後の若年層だけをターゲットに、当時流行り始めていた『クラブ』で映えるパッケージを提案した。プロモーションも大学での美人コンテストを主催したり、ドラマの中でのプロダクトプレースメントなど徹底的に若者に特化した戦略を進め、ついに4年目に中国のカクテルカテゴリーNo1の座を獲得。いまだにその位置を譲っていない。勿論デザインだけでカテゴリーリーダーになれるわけははない。そこには企業の方達の戦略や努力によりところが大きい。我々の常識を覆すような彼らの戦略の数々に、中国企業の強さをたくさん学ばせてもらった。

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