Overview
セブンスターの14mmは未だに単体売上が日本一を誇る。そんな日本中で愛さるセブンスターは『変わらない』ことで愛されてきたブランド。喫煙者の高齢化とともに微減が続く状況の中で、セブンスターにも絶えず『進化』が求められている。国産葉100%で完成した新しいセブンスターの『変わらず進化する』デザインとは何か?
セブンスター14mmは、今も単体売上日本一を誇る、言わば「国民的たばこ」。その理由はただ一つ、変わらないことへの安心と信頼だ。しかし、喫煙者の高齢化、社会の禁煙化傾向、紙巻きたばこ市場の微減トレンドという時代の流れの中で、ブランドには常に「進化」が求められている。変えてはいけない。しかし、進化は必要だ。では、何を変えずに、何を変えるべきか?この繊細で重厚な命題に応えるべく、3年に及ぶリサーチとデザイン開発が始まった。
期間限定や数量限定の商品であれば、派手なカラーや奇抜なモチーフも許される。だが、セブンスターのようなレギュラーパッケージには“時代を超える顔”が必要である。そのため、
・ 一時的な流行に流されない
・ 既存ユーザーが違和感を持たない
・ 初見の若年層にも静かな魅力を放つ
という“定番としての静かな圧倒感”を目指すことが、出発点となった。
セブンスターが長年支持されてきた理由は、余計な装飾を排した“ストイックさ”にある。これはタバコという商品カテゴリにおける、“最後の硬派ブランド”としての美学とも言える。その価値を損なわずに、“進化”を与えるには、
・ 形状・余白・エッジ・紙質といった微細なディテールの質を徹底的に磨く
・ ロゴや文字サイズは0.数ミリ単位で見直し
・ 裏面や天面なども含め、一貫性あるデザイングリッドを再設計
というように、“何もしていないように見えるが、すべてが刷新されている”というアプローチをとった。
今回のリニューアルには、製品そのものの喫味(味と香り)改善=国産葉100%使用という中身の進化も含まれていた。デザインと中身が、同じベクトルで進化している。つまり、「変わらない」ようでいて、ちゃんと深化している。この一致が、ユーザーに無言の説得力を与える鍵となった。
セブンスターは、単なる国産ブランドではなく、「日本的美意識の象徴」として、世界でも例を見ない長寿商品である。その「日本的」とは、和柄や漢字を使うという表層ではなく、
・ 無駄を削ぐ
・ 精度にこだわる
・ 自然と共生するような静謐な佇まい
といった、侘び寂びに通じる造形美や余白の思想を込めることで表現された。
このプロジェクトは、ロゴやパッケージだけを変更したわけではない。「ユーザーが気づかないレベルで、確かに刷新されている」という“違和感なきアップデート”を実現するために、調査とプロトタイピングを繰り返した。
・ 既存ユーザーの声
・ 若年層への印象調査
・ 社内・販売現場での試験投入
などを通じて、ブランドの“肌触り”を崩さずに、更新する微細なラインを探った。
セブンスターのリニューアルは、単なるデザイン変更ではない。それは、「普遍性とは、繰り返し丁寧に見直し続けることで成り立つものだ」というブランド哲学の実践であった。“変えないことで愛されてきたブランド”が、“変わらずに進化すること”をどう体現できるか——その静かなる挑戦が、また新たな時代のセブンスターを支えていく。
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Industry | Retail |
Location | Japan |
Grand design