Overview
これからのホットヨガスタジオとしてのあり方を探求するために、月に数回のワークショップを行った。コンセプト及びデザインに必要な基礎知識として社員が取り組んだ学習内容は・ヨガの歴史、格言 ・インド美術/文様の研究 ・インテリアデザイン ・国内外のコミュニティ形成動向など。ワークショップでは、ペルソナ設定の見直しを行なった。そこで導き出されたのは、異なる時間帯で生活するグループの存在。ララアーシャでは、お客様同士がヨガスタジオを中心として繋がる、「3rdプレイス」をコアコンセプトとした。
関東14か所にスタジオを展開する岩盤ホットヨガのリーディングブランド、ララアーシャ。その確立された地位にもかかわらず、私たちは今改めて問いを立てた。
「これからのホットヨガスタジオは、どんな価値を提供すべきか?」
競争激化するフィットネス業界。オンラインヨガの普及、時間に縛られないライフスタイル、そしてコロナ禍を経た“場”への再定義。こうした文脈の中で、ララアーシャは単なる運動の場ではなく、心と身体、そして人がつながる“サードプレイス”を目指すリブランディングに着手した。
単なる見た目の刷新ではなく、在り方そのものの再構築を目指す本プロジェクトでは、月に数回のワークショップを実施。社員自らが、以下のような知的基盤の学習に取り組んだ:
・ ヨガの歴史・哲学・格言(八支則など)
・ インドの美術・文様研究
・ インテリアデザインの原理
・ 国内外のコミュニティ形成の最新動向
これにより、スタッフ一人ひとりが「ヨガスタジオとは何か」「私たちは誰に、どんな体験を提供するのか」を深く考え、表層ではなく本質からブランドを捉え直す土壌を作った。
ワークショップで特に印象的だったのが、時間帯によって異なる生活スタイルを持つ顧客層の存在の再認識である。
朝:アーリーワーカーや育児前の母親
昼:フリーランスやセカンドキャリア層
夜:仕事帰りの会社員・OL層
これらのペルソナが、同じ「ヨガ」というアクティビティを媒介に、スタジオを**「時間を越えて共有する場」として利用していた。この洞察が、“サードプレイス”という新たなコンセプトの中核**を生んだ。
リブランディングでは、「3rdプレイス」というコンセプトを軸に、ロゴ、キービジュアル、インテリアデザイン、Webサイトまでトータルに再構築した。
ロゴデザイン:八角形に囲まれた「Lala Aasha」の文字は、ヨガの八支則を象徴し、人と人とのつながり・広がり・調和を表現。
キービジュアル:インドの植物とヨガポーズを組み合わせ、Treesブランドとの親和性を意識した自然×身体の調和を描写。
カラー設計:ビジュアルから抽出したアースカラーをブランドカラーとして設定し、自然との一体感を伝えるトーンに統一。
インテリア:14店舗それぞれで異なっていた空間を、ナチュラル・オーガニック・静けさを共通テーマに再設計し、空間そのものが“ヨガ”になるような設計を目指した。
新しい公式Webサイトでは、
・ キービジュアルを大胆に使いながらも
・ ナビゲーションや情報構造は極限までシンプルに抑え
・ 予約や店舗案内などの動線はストレスなく到達できるよう設計
特にこだわったのは、「訪れる人が主役である」というUX思想。ブランドの美学を押しつけるのではなく、自然と“自分の居場所”を感じられる設計とした。
ララアーシャは、「効くヨガ」ではなく、「続くヨガ」を提供するブランドへと進化しつつある。
今回のリブランディングでは、
・ 身体だけでなく、時間や関係性にも働きかける
・ 孤立しないでつながれる場を提供する
・ ブランドに触れるすべての接点で、一貫した“安心感”を届ける
という3つの思想を形にすることで、“通う場”から“心が帰ってくる場”へと、その役割を変化させた。
ララアーシャのリブランディングは、ロゴや色を変えるプロジェクトではなかった。
人がどう生き、どこに身を置きたいのか。
その価値観に寄り添い、新しい“場”の意味を提示する試みだった。
“通いやすい”ではなく、“帰ってきたくなる”場所へ。
その思想が、ヨガという営みに、新しい文化としての輪郭を与え始めている。
Date | 2020 |
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Industry | Health & Wellness |
Location | Japan |
Grand design