Projects

Overview

総合美容医療機関であるゴリラクリニックは、ボディメイク、スキンケア、脱毛、そしてAGA治療など複数の施術内容がある。競合他社との最大の差別点は「医療機関」が行っているという信頼感。ただ、ユニークな社名のキャッチーさとの両立はデザイントーンとして困難な部分でもある。慎重にクリエイティブを進めるべく、徹底した市場調査やアンケートなどを進めるところから始めた。

Creative idea

信頼とキャッチーさは両立できるのか?

ゴリラクリニックは、日本で男性美容医療の認知を大きく前進させた先駆的存在である。
脱毛、ボディメイク、スキンケア、AGA治療と幅広い施術を提供する総合美容医療機関であり、“医療機関”としての信頼感と“ゴリラ”というユニークな名称のキャッチーさが共存するブランドだ。

しかし今回のテーマである「AGA治療」は極めてセンシティブであり、ユニークさが裏目に出るリスクもある。
そこで本プロジェクトは、“真面目さ”と“印象的な個性”のバランスを、どうデザインに落とし込むかという難題からスタートした。

|1| ブランド特性とテーマの“ねじれ”を乗りこなす

AGA治療という領域は、機密性や信頼性、落ち着いた心理的安心感が求められる。一方、ゴリラクリニックというブランドは、名前からも分かるように「覚えやすく」「親しみやすく」「どこか軽快」な印象を持つ。このねじれは、単なるギャップではなく、本質的なデザイントーンの衝突であった。本プロジェクトでは、「どちらかを犠牲にする」のではなく、両立を目指すための丁寧な設計思想が求められた。

|2| 市場調査と感情分析から始めるクリエイティブ戦略

まず行ったのは、徹底的な市場調査とユーザーアンケート。ターゲットとなる20〜40代の男性がAGA治療に抱く感情は、

・「バレたくない」
・「恥ずかしい」
・「でも、ちゃんと治したい」

という緊張と期待の入り混じった心理であり、ここに安易なユーモアは禁物だった。この調査結果は、軽さではなく“知的な落ち着き”を持った親しみやすさという方向性を導いた。





|3| “医療機関である”ことの信頼感を視覚で表現する

ゴリラクリニックの最大の差別化ポイントは、「医療機関が提供している」という安心感。これを強調すべく、

・ カラー設計は信頼感を与えるブルー系で統一
・ シチュエーションは医療現場を意識した清潔感のあるビジュアルに
・ 写真やビジュアルのトーンは、硬すぎず柔らかすぎない“知的な中庸”を意識
・ ブランド名と患者心理のギャップを“視覚で橋渡し”する設計を採った。

|4| “ゴリラ”を医療キャラクターに変換するアプローチ

象徴的なモチーフである“ゴリラ”は、慎重に扱われた。笑いに走らず、でも排除もせず、親しみと強さの象徴としてキャラクター化。

・ 医療従事者風のシルエット
・ クリーンな白衣や、控えめな表情設計
・ ユーザーと対話する“やさしい知性”の演出

これにより、ブランドアイデンティティを損なわずに、安心感を与える新たなゴリライメージが確立された。

|5| “男磨き”の総合機関としてのポジション再認識

今回のLPリニューアルでは、AGAというテーマにフォーカスしながらも、総合美容医療機関であるという文脈を背後にしっかりと据えた。複数の施術が同時受診できるという利便性や、全国19店舗を展開する規模感も、信頼感を裏付ける情報として丁寧に構成された。「AGA治療を入口に、男を総合的に磨くクリニック」というポジショニングを強化する意図が反映されている。

| まとめ | ブランディングは“信頼の翻訳〟である

本プロジェクトは、単なるLPリニューアルではなく、センシティブなテーマと、個性あるブランドの調和をどう図るかという、戦略的なブランディングの挑戦であった。結果として、“知的で親しみのある信頼感”という、新しいゴリラクリニックの顔が生まれた。それは、ユーザー心理への敬意と、ブランド哲学への忠実さの交差点でこそ生まれる価値だった。

About

Date 2020
Industry Medical
Location Japan
URL https://gorilla-aga.com/lp/

Information

Grand design

Jun Fujiwara
Creative Director
Jun Fujiwara
Art Director
Yoshimi Ogasawara
Graphic Designer
Koji Kitada
Graphic Designer
Kelvin Chen
Graphic Designer
Koji Kitada
Photographer / Photo Retoucher