Overview
沖縄・由布島が挑んだのは、観光依存からの脱却と物販強化。その第一歩として開発されたのが、島名を冠したオリジナル泡盛「由布島」。土産にとどまらず、島の記憶や文化を届ける“語れる一本”として企画された。3本で一枚の絵が完成するパッケージや、水牛を抽象化したデザイン、伝統色を活かした配色など、細部にまで島のアイデンティティを反映。この泡盛は、由布島の未来と希望を体現するKey Productである。
西表島から水牛で海を渡るという唯一無二のアクセス方法で知られる、沖縄の小さな離島・由布島。これまで観光を中心に成り立っていたこの島も、コロナ禍による観光客激減という現実に直面し、新たな収益源を模索する必要に迫られていた。
そのなかでの提案は、「物販」の強化。
そして、その第一弾として開発したのが、島の名を冠したオリジナル泡盛だった。
しかし、これは単なる土産物ではない。観光地としての魅力を商品というかたちに昇華させ、島の新たなブランド価値を体現する、由布島の“Key Product”としての開発プロジェクトだった。
観光に来られなくても、由布島の記憶や風景を手に取って感じてもらえるように——。泡盛という形で“島の物語”を届けることは、観光依存型の経済から一歩踏み出し、ECや物販を通じて新たな収益源を築くための第一歩でもあった。島の空気、文化、誇りを一本のボトルに託し、どこにいても由布島とつながれる体験を生むこと。それこそが、このプロジェクトに込められた最大の使命だった。
沖縄の離島・由布島は、西表島から水牛で海を渡るというユニークなアクセス方法を持ち、徒歩で一周できるほど小さなリゾート島として観光客に親しまれてきた。しかし、コロナ禍により観光客が激減。観光だけに依存しない新たな収益源を模索するなか、物販の強化という方向性が浮上し、その第一弾として泡盛商品の開発がスタートした。
由布島の名を堂々と冠したこの泡盛は、沖縄の大手酒造メーカー「八重泉」との協業により誕生。土産としての存在感とブランド性を高めるため、あえて地名をそのままネーミングとすることで、島のアイコンとして機能させる意図が込められている。
限られた販売スペースでも強く印象を残せるよう、泡盛のボトルを3本並べると1つの絵柄が完成する構造を採用。これにより、単品でも美しく、複数本をセットで購入する動機づけも図れる。店頭での視認性を最大化し、空間演出としても力を発揮するユニークな仕組みとなっている。
一般的な泡盛ラベルに多く見られる筆文字をあえて避け、由布島の象徴である水牛を抽象的なモチーフとして採用。他社商品との差別化を図ると同時に、島のアイデンティティを強く打ち出すデザインへと昇華させた。
泡盛の伝統的な配色である赤・青・黄の3色を採用。ビビッドで目を惹くカラーリングは、泡盛らしさを視覚的に伝えるだけでなく、3本セットの構成美を高める役割も果たしている。伝統と現代的な演出がバランスよく融合した設計となっている。
外箱に大きく記された「由布島」の文字は、水牛の角を想起させるオリジナルタイポグラフィを開発。ロゴそのものに島の象徴性を織り込み、ブランドの世界観をより強固に構築している。
Date | 2024.6.1 |
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Industry | Retail |
Location | Japan |
Grand design