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映画、テレビ、Youtube… e.t.c.
映像で人の心を動かすには、そのバックに流れている音楽が不可欠である。それはSNSに投稿する短い動画でも同じことが言えるだろう。
本記事では、FACTORYでも紹介している「BOUSAI Project」BGM制作のコンセプト決定から完成までを辿り、SNSでシリーズ投稿する動画のBGM制作に対する1つのかたちとして書き留めておく。

コンセプト決定と資料集め

本プロジェクトは動画が先行で出来上がり、そこからBGMを考えるという順番だった。


動画からみんなで想像したコンセプトは「ファクトリー感・手作り感・ワクワクする感じ」などなど。
まずはそれに合わせてBGMの資料を集めてみる。





打楽器や手拍子などでわくわく感、手作り感を出し、教育番組のようなトーンにする、という方向性が資料探しとミーティングにより定まった。
後はそれを参考にしつつBGMを作るだけ!…と思いきや、そこには大きな壁が待ち構えていた。

動画制作に合わせたBGMフォーマット

BOUSAI Projectは100個の動画完成が目標である。
SNS向けの動画なので、「短くわかりやすく30秒ほど」というのが指標だが、その内容は様々で、パっとすぐできるものから工程が多めのものまで…100個の動画をすべて30秒きっちりに収める(引き伸ばす)ことは不可能だった。つまり、100個の動画すべての秒数に合わせたBGMを作らなければならない。なんとか上手くシンプルに完結する方法はないだろうか。

そこで考えたのが「BGMのフォーマット化」であった。

すべての動画を30秒に合わせることはできずとも、20秒、25秒、30秒、35秒など、5秒区切り程度ならばそのどこかに動画の秒数を編集で当てはめることができる。ならば、BGMも5秒区切りの短いものを動画編集しながら組み合わせられる仕組みにすれば良いのだ。



5秒間で音楽が1つの区切りを迎えるにはBPMの調節も必要になる。BPMによっては中途半端な秒数で音楽が区切れてしまう。

BPM = Beats Per Minute

BPMとは1分間の拍数のこと。イメージ的には音楽に合わせて1分間にメトロノームが鳴る回数。
5秒間で1まとまりかつ、それなりに小気味よいテンポにするには5秒の中に8拍おさまればよい。
なので

1分=60秒
60÷5=12
8×12(8拍を1分間に12回鳴らしたい)=96

よって96BPMにすれば、8拍が5秒の中にきっちり収まるわけである。

短い中での起承転結

動画に合わせたBGMなので、5秒の音楽の組み合わせで起承転結させる必要がある。盛り上がりのピークが頭に来ててもおかしいし、逆に盛り上がったまま急に終わっても違和感がある。
なので、始まりと終わりの5秒間は固定で、間の音楽をいくらでも引き伸ばしたり短くできるような仕組みにした。

[1番始め]

[ 1番最後 ]

そして、間入れる音楽が下の4つである。段々と楽器が増えて盛り上がりがつくようにしている。

[ 2番目 ]

[ 3番目 ]

[ 4番目 ]

[ 5番目 ]

2番目から5番目にかけて少しずつ鳴っている音を増やし、だんだんと盛り上がりをつけている。そして、始まりと終わりの2つ、間の4つをすべて流すとこのような30秒のBGMになる。

さらに、間の4つのうち、動画尺に合わせて使用しない音源があってもBGMが成立するように制作した。




これ以外にも、もう2種類Bousai Project用にBGMを制作した。気になった方は是非上のTwitterからチェックしてほしい。動画の可変的な長さに対応するBGM制作は初めてだったが、1つの解決方法として今後別のコンテンツでも活かせそうだ。