Overview
Nestléはかつて撤退した中国のフルーツティー市場に、「NESTEA」として再挑戦。Z世代をターゲットに、シェアしたくなるデザインと価値観共鳴を軸に再構築し、71日間で1億本突破を達成。グローバルとローカルの信頼を両立し、“最後発でも先端感”を体現するブランドへと進化した。
Nestlé(雀巢)は、2003年から2013年にかけて「雀巢冰爽茶」として中国でフルーツティー市場に参入したが、若年層の支持を得られず撤退を余儀なくされた苦い過去を持つ。しかし2020年代、中国のペットボトル茶市場は年間300億元超の巨大市場に成長し、なかでもフルーツティーが市場のシェア51%を占める主力カテゴリーとなっていた。
そこでNestléは、“新しい若年層向けグローバルブランド”としてのNESTEAを構築し直し、過去を乗り越え再挑戦を図る。テーマは明確だった「最後発でありながら、売場で最も目立ち、最もシェアされるフルーツティーになる。」そして、この目標は71日間で達成されることになる。
中心ターゲットは18〜24歳の若者。彼らの消費行動は、以下の2軸で動く:
・ 見た目の“シズル感”と写真映え
・「今の自分」に合った価値観と共感
そこでNESTEAは、以下の3つのデザイン方向性を軸に開発された:
Active:フレッシュで活動的なエネルギーを感じさせる
Modern:スマートでミニマル、都会的な印象
Juicy:美味しさと楽しさが弾けるような果実感
単なる“甘いお茶”ではなく、日常に軽やかに差し込むフルーツティー体験としての設計が求められた。
Nestléはグローバルブランドでありながら、中国では「雀巢」というブランドネームの方が広く浸透している。
そこで本プロジェクトでは、
・ Nestléのトーン&マナーによるグローバル基準の信頼感
・「雀巢」表記によるローカルでの認知と安心感
この2つを両立させる設計により、ブランドの世界観と中国市場での信頼性を両立させた。
商品パッケージでは、Z世代に視覚的に伝わる要素を明確に抽出:
・ 清潔感ある白背景で透明感と洗練性を演出
・ 上下に分かれたフルーツのカットイラストで、シズル感とフレーバーの直感的理解を促進
・ 中央のタイポグラフィでモダンさと情報の整理された印象を与える
・ Nestléブランドカラー × フレーバーカラーの掛け合わせで、美味しさと品質を両立
これにより、売場での目立ち度と、SNSでの「写真に撮りたくなる」魅力を同時に獲得した。
NESTEAフルーツティーは、デザイン公開と同時にSNS上で話題化。写真投稿、試飲レビュー、パッケージ収集など若者による自発的な拡散が加速し、発売からわずか71日で1億本を突破という快挙を達成。最後発でありながら、最速で若者の共感を勝ち取ったブランドとして市場に定着した。
NESTEAのリブランディングは、単なる“若者向けパッケージ”ではなく、若者の価値観に寄り添った“日常の軽やかな幸福”を届けるブランディング戦略である。
・ デザイン性(撮りたくなる)
・ 商品性(飲みたくなる)
・ ブランド性(信じたくなる)
この三位一体によって、最後発でありながら“先端感”を醸すプロダクト体験を実現した。
Date | 2019 |
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Industry | Retail |
Location | China |
Grand design