Overview
クラフトリキュール「奏(かなで)」は、日本の素材や職人技を背景に持ちながらも、それを世界に共感される形で伝えることが課題だった。私たちは言葉とデザインの両面から再構築を行い、コピー「日本の恵みが、グラスの中で踊り出す。」を軸に、和紙の質感や余白を活かしたラベル、上質な器や演出を通して、深みと品格ある世界観を構築。「奏」は、日本らしい静謐さと遊び心を併せ持つブランドへと進化した。
市場の高級化と差別化が求められる中、クラフトリキュールブランド「奏(かなで)」が直面していた課題は、単なる“味の良さ”や“素材の希少性”に留まらないブランド構築の必要性だった。特に、「日本産素材」や「職人技」といった価値が注目される一方で、それらを海外のユーザーや新しい世代に向けて“共感されるかたちで翻訳・表現する術”が求められていた。
「日本の繊細さや奥深さを、言葉とデザインでどう表現するか?」
「クラフトとしての上質さと遊び心を、どのように両立させるか?」
こうした問いに向き合いながら、“味覚の体験を、ブランドとしての物語に昇華させる”ための総合的な表現設計が本プロジェクトのミッションであった。
キーコピーは「日本の恵みが、グラスの中で踊り出す。」日本の果実や茶葉が織りなす調和の味わいを、“ひとつの作品”として表現する感覚が込められている。この日本語コピーに呼応する英語版コピーは「THE JAPANESE CRAFT OF COCKTAIL A SYMPHONY OF FLAVORS」。日本発クラフトリキュールとしての魅力を、国際的にも伝える構成としている。言葉を起点に、ブランドの哲学と味覚の世界観を立ち上げた。
ラベルにはブラシアートを背景に使用し、商品本体を中央に“寝かせる”という大胆な構図を採用。右上にカクテルを配置することで視線の流れを誘導し、日本らしい「余白の美」を活かしたデザインとした。背景には繊維の質感が美しく映える和紙を選定。汚れに見えないよう複数の素材を検証し、ラベルと同一の和紙を採用することで、統一感のある美しさを実現した。
グラスは、上から見たときのシルエットと光の反射を重視して選定。注がれたカクテルの表情が、ブランドの上質さを引き立てるよう設計されている。ガーニッシュは、商品とカクテルのバランスを取りつつ、画面全体に上品な彩りを添える役割を果たす。視覚的な品格とアクセントの両立が図られている。
奏は、単なるフレーバーリキュールではない。日本の素材と職人技によって生み出される、奥深い味わいを宿す存在である。この本質を伝えるために、装飾を削ぎ落としたシンプルなビジュアルに昇華。ビジュアルとコピーの両面から、「日本らしい品格」と「遊び心」を融合させた、唯一無二のブランドの個性を際立たせている。
Date | 2025.03.05 |
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Industry | Food & Beverage |
Location | Japan、the United States |
01 | 「奏」ならではのクラフト価値の訴求 |
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02 | 生まれ変わったラベルデザインと共に、市場での認知強化 |
03 | 日本とアメリカ、それぞれの市場に適したブランドコミュニケーションの構築 |
04 | ブランドの世界観を反映したビジュアル開発 |
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