Projects

Overview

クラフトリキュール「奏(かなで)」は、日本の素材や職人技を背景に持ちながらも、それを世界に共感される形で伝えることが課題だった。私たちは言葉とデザインの両面から再構築を行い、コピー「日本の恵みが、グラスの中で踊り出す。」を軸に、和紙の質感や余白を活かしたラベル、上質な器や演出を通して、深みと品格ある世界観を構築。「奏」は、日本らしい静謐さと遊び心を併せ持つブランドへと進化した。

Creative idea

「日本らしさ」をどう世界に伝えるか?——クラフトリキュールが抱えるアイデンティティの課題

市場の高級化と差別化が求められる中、クラフトリキュールブランド「奏(かなで)」が直面していた課題は、単なる“味の良さ”や“素材の希少性”に留まらないブランド構築の必要性だった。特に、「日本産素材」や「職人技」といった価値が注目される一方で、それらを海外のユーザーや新しい世代に向けて“共感されるかたちで翻訳・表現する術”が求められていた。

「日本の繊細さや奥深さを、言葉とデザインでどう表現するか?」
「クラフトとしての上質さと遊び心を、どのように両立させるか?」

こうした問いに向き合いながら、“味覚の体験を、ブランドとしての物語に昇華させる”ための総合的な表現設計が本プロジェクトのミッションであった。

|1| 言葉で奏でるブランドの世界観

キーコピーは「日本の恵みが、グラスの中で踊り出す。」日本の果実や茶葉が織りなす調和の味わいを、“ひとつの作品”として表現する感覚が込められている。この日本語コピーに呼応する英語版コピーは「THE JAPANESE CRAFT OF COCKTAIL A SYMPHONY OF FLAVORS」。日本発クラフトリキュールとしての魅力を、国際的にも伝える構成としている。言葉を起点に、ブランドの哲学と味覚の世界観を立ち上げた。

|2| 視覚で語る、日本の美

ラベルにはブラシアートを背景に使用し、商品本体を中央に“寝かせる”という大胆な構図を採用。右上にカクテルを配置することで視線の流れを誘導し、日本らしい「余白の美」を活かしたデザインとした。背景には繊維の質感が美しく映える和紙を選定。汚れに見えないよう複数の素材を検証し、ラベルと同一の和紙を採用することで、統一感のある美しさを実現した。

|3| 細部に宿る、洗練のこだわり

グラスは、上から見たときのシルエットと光の反射を重視して選定。注がれたカクテルの表情が、ブランドの上質さを引き立てるよう設計されている。ガーニッシュは、商品とカクテルのバランスを取りつつ、画面全体に上品な彩りを添える役割を果たす。視覚的な品格とアクセントの両立が図られている。

|4| 日本の素材と職人技が織りなす、静謐な強さ

奏は、単なるフレーバーリキュールではない。日本の素材と職人技によって生み出される、奥深い味わいを宿す存在である。この本質を伝えるために、装飾を削ぎ落としたシンプルなビジュアルに昇華。ビジュアルとコピーの両面から、「日本らしい品格」と「遊び心」を融合させた、唯一無二のブランドの個性を際立たせている。

About

Date 2025.03.05
Industry Food & Beverage
Location Japan、the United States

Goal & Objectives

01 「奏」ならではのクラフト価値の訴求
02 生まれ変わったラベルデザインと共に、市場での認知強化
03 日本とアメリカ、それぞれの市場に適したブランドコミュニケーションの構築
04 ブランドの世界観を反映したビジュアル開発

Information

Grand design

Jun Fujiwara
Creative Director
Chiaki Fukushima
Designer
Euro Kosaka
Designer
Miho Takano
Production Manager

HAKUHODO USA

Mayuko Hari
Creative Director

Outsourcing

Haruki Kodama
Photographer
Hiroko Takenaka
Food Stylist
Hikaru Ito
Retoucher
TSUMUGU BROTHERS
Post-production